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【閲覧注意】アゲハチョウの寄生虫 代表的な4種類 除去の方法

アゲハチョウの羽化を楽しみに待っていたら、蛹から出てきたのは蝶ではなくうじ虫だった、という経験をされたことがあるかもしれません。

アゲハチョウの周りは天敵だらけですが、飼育していて一番厄介なのは寄生虫でしょう。

アゲハチョウの寄生虫。どんなのがいるのか。そのすべてを挙げるのは難しいので、代表例を4つだけ挙げます。併せて寄生虫除去の方法も書きますので、参考になさってください。

この記事をご覧になれば、アゲハチョウの寄生虫の見分け方、それぞれの寄生虫はいつ外に出てくるのか、といったことがわかります。

【閲覧注意‼】見る人によっては気持ち悪い画像や動画があります。

アゲハチョウの寄生虫

ここではハエ目1科とハチ目3科を挙げますが、そこに属する昆虫すべてがアゲハチョウに寄生するわけではありません。

宿主はいろいろです。

【ヤドリバエ】最も多い寄生バエ

多くのアゲハ愛好家が一番悩まされているのは、おそらくヤドリバエでしょう。我が家でも毎年たくさん犠牲者が出ます。

ヤドリバエ: ハエ目ヒツジバエ上科ヤドリバエ科に属する昆虫の総称

わかりやすい名前ですね。

1.3cm。おそらくマダラヤドリバエ

これはうちで羽化しました。

ヤドリバエに関する詳しい情報はこちらの記事でご覧ください。

【コバチ】小型の寄生バチ

コバチは小型の寄生バチ。

アゲハチョウに寄生するコバチでよく聞くのは、タマゴコバチ、アオムシコバチ、キアシブトコバチあたりか。

コバチ: ハチ目細腰亜目コバチ上科に属する昆虫の総称

我が家で遭遇したのは、今のところタマゴコバチだけです。

タマゴコバチ。ご存じですか? 長野県農業関係試験場の農作物病害虫データベース にこう書いてありました。

昆虫のタマゴに寄生する小型のハチで、成虫になるまで卵の中で生活する内部寄生性である。キイロタマゴバチ、アワノメイガタマゴバチ、メアカタマゴバチ、ズイムシアカタマゴバチなどが知られている。いずれも成虫の体長が0.5~0.7mm程度、触角が大く翅が透明であるが内視ではほとんど確認できない。りん翅目(チョウ、ガ類)の卵に産卵するものが多い。寄生された卵は初めは外観上区別できないが、末期には黒く変色する。寄生してから10~14日間で卵に穴をあけて成虫が出てくる。

うちの卵から出てきたのはこれです。

全長1mm程度。羽蟻に似ています。

アオスジアゲハの卵から出てきました。

【ヒメバチ】大型の寄生バチ

ヒメバチは体が細い大小様々な寄生バチ。

昆虫の中でも最大規模のグループを構成し、何万種もいるようです。

ヒメバチ: ハチ目細腰亜目ヒメバチ上科ヒメバチ科に属する昆虫の総称

アゲハチョウに寄生するヒメバチで有名なのは、その名のとおりアゲハヒメバチ

幸い我が家ではまだ遭遇していません。なので、こちらの動画を拝借。

ヤドリバエと違って、成体になって出てくるんですね。

デカい。

こちらでは幼虫に卵を産みつける様子を見ることができます。

こんな目には遭いたくないな。

【コマユバチ】繭を作る寄生バチ

コマユバチ。漢字で書くと小繭蜂

名前のとおり、宿主から出てきて小さい繭を作ります。

コマユバチ: ハチ目細腰亜目ヒメバチ上科コマユバチ科に属する昆虫の総称

いろいろいますが、我が家で遭遇したのはギンケハラボソコマユバチ

これです。

最初にこれを見た時は仰天しました。生きているアオスジアゲハ幼虫のおしり付近から糸が伸び、繭がぶら下がっています。

アゲハチョウの体内で孵化、外に出てくるなり、空中で繭を作るという離れ業。

モンシロチョウに寄生するアオムシコマユバチは、1匹の宿主から20~30匹出てきますが、これは1匹しか出てきません。

別の機会に繭作りを見ることができました。

ナミアゲハ3齢幼虫から出てきて、糸を吐きながら這行。

このあと、繭を作り始めます。

糸を輪っかにして、尻に引っ掛けました。

器用だね。

このあと、うねうねしながら糸を紡いで、繭を編んでいきます。

2時間後。気がついたら、繭の形になっていました。

ずっと見ていたわけではありません。(笑)

翌日。カチカチに頑丈な繭になっていましたが、マクロレンズで覗いてみたら、中でまだ糸を吐いていました。いったい、いつまで吐き続けるのか。

9日後、羽化しました。ちゃんとおしりに針があります。

ギンケハラボソコマユバチが出てきた後のアゲハ幼虫はどれも衰弱し、2~3日後に死にました。

寄生虫の除去

以上、アゲハチョウに寄生する代表的な昆虫を挙げました。

では、寄生虫を除去することはできるのか。寄生虫のタイプによります。

寄生虫には3つのタイプがあります。

  • ① アゲハ幼虫の体内に産卵する 例)アゲハヒメバチ
  • ② アゲハ幼虫の表皮に産卵する 例)ブランコヤドリバエ
  • ③ アゲハ幼虫の周囲の食草に産卵する 例)マダラヤドリバエ

①の場合、寄生虫は除去できません。

②の場合、寄生虫の卵が孵化する前なら除去できます。

③の場合、食草から卵を除去するか、宿主の体内から寄生虫を除去するか。

除去の方法はこちらの記事でご覧ください。

ヤドリバエに関する記事ですが、他の寄生虫でもやることは同じです。

どこまでやるかは人それぞれですね。

アゲハチョウを寄生虫から守る最善の方法は、アゲハチョウを寄生虫がいない環境で育てること。要するに、卵でも幼虫でもできるだけ早く採取して室内で育てることです。

あとがき

以上、アゲハチョウの代表的な寄生虫と寄生虫除去について書きました。お役に立てば幸いです。

アゲハチョウを育てている人から見れば、寄生虫は忌々しい存在ですが、これも生態系の一部。仕方ありません。

アゲハチョウの幼虫に関する総括的な情報は、こちらの記事でご覧ください。

2021/4/11,2023/2/9

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コメント

  1. 山下アニー より:

    青虫が2cmくらいになると、10匹に1匹の割合で死んでしまいます
    40×30cmの箱に20匹位入れていますが、多すぎてそれがいけないのでしょうか?
    寄生などの知識はありますが、、、
    生まれて3日くらいで家に回収しています。
    さなぎになっても、黒くなってしまうのもあります

    • たむら船堀 たむら船堀 より:

      飼育環境は高温多湿、過密をを避け、清潔にするのが基本です。そうしないと、細菌やウィルスが繁殖して死ぬ幼虫が増えるでしょう。うちではビン刺しで育てているので、「40×30cmの箱に20匹位」が多すぎるかどうかはわかりません。
      蛹が黒くなるというのは何でしょうね。脱皮の途中で死ぬのであれば、脱皮阻害剤のせいかもしれません。

  2. 河田知子 より:

    ナミアゲハの蛹のわきに黒い穴があき、そこから蠅のような成虫がたくさん出てきました。幼虫ではなく、翅のある蟻のような虫です。他にも黒い穴がある蛹があります。おそらく、死んでいるでしょう。多くは幼虫から前蛹、蛹となり、無事飛び立つのですが、まれに孵らない蛹があります。孵らない蛹は色が濃いように思います。

    • たむら船堀 たむら船堀 より:

      コメントありがとうございます。それはおそらくアオムシコバチでしょう。うちではまだ遭遇したことがありません。翅があるのは困りますね。

  3. アゲハ蝶初心者 より:

    こんにちは。
    アゲハ蝶の蛹が2体食い破られてましてなんの寄生虫かと探していたところ、どうやら蛹の破られ方からアゲハヒメバチの様です。2体犠牲になってしまったのですが、未だに出て来たヒメバチが見つからず、恐怖しております……

    • たむら船堀 たむら船堀 より:

      それは大変ですね。アゲハヒメバチの実物はまだ見たことがありません。早く見つかるといいですね。