アゲハチョウの一生はどんな感じ? 寿命はどれくらい? 卵から成虫までの期間は? そんな疑問がありますか?
我が家では毎年アゲハチョウの飼育を楽しんでいます。この記事では卵が孵化して、幼虫が蛹化して、蛹が羽化して、成虫になるまでの大まかな期間を記しました。
この記事をご覧になれば、アゲハチョウの一生、寿命、一年のサイクルがわかります。
アゲハチョウは完全変態する昆虫
念のため、最初に基本的なことを書いておきますが、アゲハチョウは完全変態する昆虫です。
完全変態。ご存じですか? 以下、デジタル大辞泉からの引用です。
完全変態:
昆虫が卵・幼生のほかにさなぎの段階を経てから成虫になること。チョウなどにみられる。不完全変態:
昆虫の変態の一型。さなぎの時代を経ず、幼虫から直接成虫になるもの。トンボ・バッタ・ゴキブリなどにみられる。無変態:
昆虫の変態の一型。成長の過程でほとんど形態が変化せず、脱皮を繰り返すことで大きくなる。シミ・イシノミなどにみられる。
とあるように、完全変態の昆虫は孵化後、幼虫、蛹、成虫と形を変えて成長していきます。

小さなイモムシが美しい蝶になる。それがアゲハの魅力の1つです。
アゲハチョウの一生
ということで、アゲハチョウの一生を卵、幼虫、前蛹、蛹、成虫に分けて見てみましょう。
卵の期間は3~5日
期間: 3~5日

1mm
産卵直後の卵は透き通るような黄色。やがて幼虫の影が現れ、孵化します。その間も寄生される危険があります。
卵に関する詳しい情報、孵化の動画はこちらの記事でご覧ください。
幼虫の成長過程
幼虫は通常4回脱皮して終齢幼虫になります。
1齢幼虫の期間は2~4日
期間: 2~4日

2~5mm
孵化直後は黄土色。徐々に茶色が濃くなり、中央に白い筋が見え始めます。
2齢幼虫の期間は3~5日
期間: 3~5日

5~10mm
中央の白い線が目立つようになり、鳥の糞ぽくなってきます。

擬態ですね。
3齢幼虫の期間は3~5日
期間: 3~5日

10~20mm
突起が目立つ(脱皮直後は黄色が強い)ようになります。
4齢幼虫の期間は3~5日
期間: 3~5日

15~25mm
全体的に黒っぽい緑色になります。
こんな感じで脱皮して、5齢幼虫に。
1~4齢幼虫が寄生される可能性は5齢幼虫より低いとはいえ、全くないわけではありません。
アゲハチョウの寄生虫に関しては、こちらの記事をご覧ください。
5齢幼虫の期間は5~7日
期間: 5~7日
クロアゲハなどの大型種はプラス数日。

20~45mm
終齢幼虫(幼虫の最終形態)は通常5齢幼虫ですが、ごく稀にもう一度脱皮して6齢幼虫になる場合があります。
5齢幼虫になると、寄生される確率が格段に上がります。寄生バエや寄生バチに発見されて、表皮や周囲の葉っぱに卵を産み付けられるからです。

かわいそう。
幼虫が食べる葉っぱ、育て方に関しては、こちらの記事をご覧ください。
前蛹の期間は1~2日
期間: 1~2日

5齢幼虫が糸掛けをして、くの字になった状態。
蛹の期間は7~10日
期間: 7~10日
クロアゲハなどの大型種はプラス数日。越冬蛹ならプラス越冬期間。

5齢幼虫は蛹化の時期になると、ガットパージ(余分な体液の排泄)、ワンダリング(蛹化の場所探し)の後、糸掛けをして前蛹になり、生涯最後の脱皮をして蛹になります。
その一連の行動に関しては、こちらの記事をご覧ください。
成虫の期間は2週間以上
期間: 2週間以上
室内飼育の場合はもっと長くなります。特に冬期はあまり動かないため長生きし、我が家では最長2か月ほど生きました。3か月以上生きたという話を聞いたこともあります。

こんな感じで羽化します。

揺れちゃって、すみません。
成虫はペアリングの相手を求めて飛び回り、雌は死ぬまでに200個ほど産卵します。
アゲハチョウの寿命
アゲハチョウの寿命はどれくらいになるのか。形体ごとの期間をまとめると、こうなります。
産卵~孵化 | 卵の期間 | 3~5日 |
孵化~脱皮1回目 | 1齢幼虫の期間 | 2~4日 |
脱皮1回目~2回目 | 2齢幼虫の期間 | 3~5日 |
脱皮2回目~3回目 | 3齢幼虫の期間 | 3~5日 |
脱皮3回目~4回目 | 4齢幼虫の期間 | 3~5日 |
脱皮4回目~糸掛け | 5齢幼虫の期間 | 5~7日 |
糸掛け~脱皮5回目 | 前蛹の期間 | 1~2日 |
脱皮5回目~羽化 | 蛹の期間 | 7~10日 |
羽化~死亡 | 成虫の期間 | 2週間以上 |
孵化から羽化までは約1か月

気温が低くなると、それなりに日数は増えます。
ということで、アゲハチョウの寿命は以下のとおり。
卵から成虫になるまでの期間(孵化~羽化)約1か月+成虫の生存日数
クロアゲハなどの大型種は孵化~羽化にプラス1週間から10日前後
その間、絶えず寄生虫やハチ、クモ、トカゲ、カマキリ、鳥などの天敵に命を狙われ、ほかにも病害や薬害があり、常に死と隣り合わせです。

アゲハはつらいよ。
儚くも愛おしい命を1つでも多く、大空に羽ばたかせたい。そう願って、これからもかみさんは飼育を続けます。

Yes I do.
アゲハチョウの一年
アゲハチョウの一年はこんなサイクルになります。
- 4~5月春型羽化
越冬蛹が羽化します。
春型とは越冬蛹から羽化した成虫。
- 5~10月産卵、夏型羽化
この間3~5世代交代します。
夏型とは春型から産まれた世代以降の成虫。
- 8月~翌年春休眠(越冬)
休眠期間に入ります。
自然界では若齢幼虫時の日長が13時間30分を下回ると休眠蛹になるというのが通説です。例年8月中旬頃から。室内飼育の場合、この限りではありません。
休眠期間に入ってから室内で飼育する場合、短日処理をしないと寒い時期に羽化してしまいます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
あとがき
以上、アゲハチョウの一生、寿命について書きました。お役に立てば幸いです。
アゲハチョウの総括的な情報は、こちらの記事でご覧ください。
2021/4/29,2023/1/24
コメント
速やかなご返答ありがとうございました!
昨日、脱皮して2cmサイズの一応終齢幼虫になりました。
今朝もあの夕方ほどの短期繰り返すけいれんは見られませんが、ピクピクは依然としてあるものの、食べれる葉を探して彷徨う元気があります。
寄生については…1%の可能性を信じつつ最期まで全部、どんな結果でも受け止めます。
「2cm」サイズでも緑色になれるのか!なども含め、知識を教えていただいたのは、
たむら船堀館長さんのこのホームページです。
豊富な知識と画像、初飼育者にとって、とても参考にさせていただいております。
本当にありがとうございました!
いえいえ、とんでもない。いろいろお役に立っているようで幸いです。
はじめまして、前略失礼いたします。
そして質問をさせていただき申し訳ありません。
今、4齢幼虫だと思われる幼虫を室内飼育しています。
今夕からホームから動かず、ずっと続くわけではないのですが、割と頻回に痙攣のような動きが見られるようになりました。
少食に加えて新芽に近い葉しか食べませんが、何も食べようとせず、脱皮前だからなのか?
仮の答えを考え、アゲハチョウを育てられている方のブログや質問箱…キーワード検索をしても、解答に巡り会えず、ドキドキしています。
終齢期前の幼虫がけいれんのように震えるのは何が理由かご存知でしたら、教えていただけると、とても嬉しいです。
本来なら我が家のベランダ植木鉢で知らないうちに亡くなるのが運命なのかも知れません。
ただ…今回は成り行きで突然、初めて室内で飼育する状況になり、まさに暗闇手探り状態でした。今はわかる限りのことを知りたい、できる限りのことをしたいです。
感情的な長文、本当に申し訳ありません。
お応えいただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。
うちでも痙攣のような動きはよく見かけますが、問題はないようです。理由はわかりません。
薬害や病害の場合は落ちて死にます。寄生されているかどうかはほとんどの場合、蛹にならないとわかりません。
羽化まで行くといいですね。