モンシロチョウの幼虫を育てていますか? あるいは、これから育てるところですか?
モンシロチョウの飼育は難しくありませんが、少々気を遣うところがあります。そこで失敗すると、羽化まで辿り着けないかもしれません。
我が家では購入した野菜に幼虫がついていると毎回育てていて、飼育には慣れています。どんな感じで育てているのか、他の役立つ情報と併せてわかりやすく書きますので、参考になさってください。
この記事をご覧になれば、モンシロチョウの飼育は難なく行えるようになるでしょう。
モンシロチョウの幼虫

育て方
準備するものは以下のとおりです。
- 容器 … 虫かご、プリンカップなど
- 食べ物 … 食草の葉っぱ
- 枝や割り箸 … 蛹化時に使用
食べ物を準備する
まずは幼虫の食べ物を準備しましょう。
モンシロチョウの幼虫の食べ物(食草)はアブラナ科植物です。代表例は以下のとおり。
野菜 | キャベツ | 野草 | アブラナ |
ハクサイ | イヌガラシ | ||
ブロッコリー | カキネガラシ | ||
カリフラワー | セイヨウカラシナ | ||
コマツナ | ナズナ | ||
クレソン | タネツケバナ | ||
カブ | コショウソウ | ||
ダイコン | スカシタゴボウ |
食草は途中で変わっても大丈夫そうです。
うちで育てた幼虫は ブロッコリー → キャベツ → コマツナと変わっても、ちゃんと食べていました。だからと言って、アブラナ科植物なら何でも自由に変えられるかどうかはわかりません。
農薬を使っている野菜は避けましょう。
キャベツは内側の葉なら大丈夫と言う人もいますが、実際はどうなのかわかりません。
幼虫は新鮮な葉っぱしか食べません。葉っぱがしおれてくると新鮮な葉っぱを求めて脱走しますので、葉っぱはこまめに換えてください。切り口に濡れたティッシュペーパーなどを巻いておけば、多少長持ちします。
飼育環境を整える
次は飼育環境の設定。
我が家ではこんな感じで食草をビン刺しにするか、トレイに置いているだけです。


これの利点は糞の始末が簡単なこと。

糞はどんどん溜まります。

このとおり、観察もしやすい。
難点は脱走される危険があること。小まめに世話できない人は、幼虫を容器に入れておくほうがいいでしょう。容器は虫かごでもダンボール箱でもプリンカップでも構いません。
いずれにしても、風通しをよくし、糞はこまめに取り除きましょう。細菌やウィルスの増殖を抑えるためです。
蚊取り線香や殺虫剤の使用は厳禁です。
幼虫が蛹になるまで
いよいよ飼育スタート。
幼虫は食草に乗せておけば、もりもり食べて、見る見る大きくなります。
夢中に食べる幼虫。
幼虫の大きさ: 孵化した時は3mmほど。3cmくらいまで大きくなります。
幼虫は脱皮を繰り返して成長します。脱皮の回数は1齢幼虫から蛹になるまでに通常5回。
これはおそらく4齢幼虫から5齢幼虫に変わる脱皮。
(10倍速)
7分以上かかりました。

脱皮完了。

モンシロチョウはアゲハチョウと違い、脱皮しても色も模様もあまり変わらないので、齢数がわかりにくい。
幼虫が長時間動かない時はおそらく脱皮の準備中です。そっとしておきましょう。
5齢幼虫になってから数日後、葉っぱを食べなくなったら、蛹化に向けて一連の行動が始まります。
終齢幼虫が蛹になるまでの飼育に関しては、こちらの記事をご覧ください。
蛹が成虫になるまで
蛹は基本、放っておいて大丈夫です。
但し、ケースの壁や天井など、羽化した時に掴まるところがない場所に張り付いたのであれば、別の場所に移しましょう。落下すると翅が傷付いてしまうからです。

蛹を傷付けないように剝がして、

蛹ポケットに入れるといいでしょう。
蛹になって3日以上経ってから移すのが無難です。それまでは中が固まっていないので。下手に動かすと、羽化不全になりかねません。
蛹の剥がし方、蛹ポケットの作り方は こちらの動画 でご覧ください。
蛹ポケットを作るのが面倒なら、”寝かせ方式”もあります。こちらの記事をご覧になってみてください。アゲハチョウの記事ですが、やることは同じです。
蛹は羽化が近くなると、


このように、触覚や翅が透けて見えてきます。

羽化しました。
翅が乾かないと飛べません。羽化不全でなければ、2~3時間で飛べるようになります。
飛べるなら放蝶していただきたいと思いますが、何らかの理由で飼育を続けるのであれば、こちらの記事を参考になさってください。
成長過程
このとおり、モンシロチョウの飼育は難しくありません。
卵から成虫までの成長過程は、こちらの記事でご覧ください。
見分け方
モンシロチョウの幼虫は単独だと判別しにくいかもしれません。
よく似ているのはこれです。

コナガ
モンシロチョウ幼虫の特徴はこちらの記事でご覧ください。コナガと比較しながら書いています。
寄生
モンシロチョウの幼虫は寄生される確率が高いようです。
部分的に黒くなるなら、寄生されているのかもしれません。
大量の白い糸がくっついていたら、寄生虫アオムシコマユバチの繭でしょう。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
モンシロチョウ補足情報
活動時期
モンシロチョウの活動時期は3月から11月まで。
アゲハチョウより少し早く飛び始め、少し遅くまで飛び回ります。体が小さいからか。おそらく食草の生育期間との関連でしょう。
その間5~6回世代交代します。
卵
モンシロチョウの卵はこんな感じです。

大きさは最長辺で1mmほど。
まん丸のアゲハチョウの卵とは、だいぶ趣が異なります。
越冬
越冬するのは蛹だけです。卵、幼虫、成虫は越冬しません。
我が家では一度だけ越冬させたことがあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
あとがき
以上、モンシロチョウの幼虫の育て方、食べ物、成長過程、活動時期などについて書きました。お役に立てば幸いです。
モンシロチョウの幼虫はどんな顔か、ご存じですか?
こんな顔です。

ねぎ坊主みたいで、かわいいと思いませんか?
今度、拡大鏡で覗いてみてください。
2021/5/28,2023/5/29
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