アゲハ蝶が活動できる気温は何度なのか。
春先や秋。羽化した蝶を放すかどうか、迷うことがあるかもしれません。
で、調べてみましたが、明確な答えは得られなかったので、専門機関に尋ねてみました。専門家の回答なので、放蝶の判断材料になります。どうぞ参考になさってください。
アゲハ蝶が活動できる気温
私が問い合わせたのは比較的近所の生物園と、当サイトに度々登場する研究機関です。両方とも回答(メール文)の掲載許可をいただいています。
回答1~足立区生物園
問い合わせ先: 足立区生物園
以下のとおり問い合わせました。
貴重な情報提供ありがとうございます。
アゲハチョウの活動時期は概ね3~10月で間違いなさそうですが、具体的な気温がわかりません。
アゲハチョウが活発に活動できる気温はどれくらいですか?
これに対する回答は以下のとおりです。
アゲハチョウの活動温度についてですが、活発になるような明確な温度をこちらでは把握してないです。
チョウ全般に言えることなのですが、気温が低い日でも日照さえあれば翅を広げて身体を温めてから普通に飛んだりします。
なので、肌寒い春でも日差しがあれば活発に活動しますし、暖かい夏でも曇りで暗ければあまり飛びません。もちろん気温が低すぎれば活動しないのですが。
何となく体感で15,6℃以上で日差しがあれば活動できるようにも思います。
一応生物園ではチョウの大温室でチョウたちが活発に飛び回ってくれるよう冬場でも18℃以上になるような加温を行っています。ただし、こちらのチョウたちも外の天気によって全然飛び方が変わってしまいます。
お名前は回答者ご本人の要望で隠しました。
回答2~JT生命誌研究館
問い合わせ先: JT生命誌研究館
以下のとおり問い合わせました。
お世話になります。先日はアゲハチョウの休眠について教えてくださり、ありがとうございました。度々で恐縮ですが、今回はアゲハチョウが活動できる気温について、教えていただければと思います。
アゲハチョウは何度ぐらいあれば活発に動けるのか。調べてもわからなかったので、某生物園に尋ねてみたところ、明確な気温は把握していない、おそらく15,16度あって日差しがあれば活動できる、生物園の温室は18度以上に設定しているという回答でした。そちらではいかがでしょうか。
今の時期、羽化した蝶を放すかどうか迷う人が多いので、素人判断ではない気温の目安をブログに載せたいと思っています。お忙しいところ恐れ入りますが、回答をよろしくお願い致します。
当初は足立区生物園だけで済ますつもりでしたが、後日「念のためもう1箇所」と思って問い合わせました。なので、こういう質問になってしまいました。
今になって、足立区生物園と同じ質問文にすればよかったと後悔しています。(^^;)
これに対する回答は以下のとおりです。
こちらでも明確な温度は把握しておりませんが、直射日光が当たる場所はかなり暖かかったりしますので、昆虫たちが生活している小規模な世界は人類が計測する気温とは異なる可能性があります。
なんとなくの肌感覚ですが、春に蝶が飛んでいるのを見かけるようになるのは、気温としては15度を超えた頃からかなぁという印象があります。また、大阪では10月中旬頃まで、少数ですがナミアゲハを見かけることがあります。半袖では少し肌寒いと感じる頃ですので、気温としては20度を下回り始めた頃かなと思います。
温帯地域の昆虫は、25度前後が発育や活動の適温とされていますので、当研究室では飼育や行動実験は25度に設定された部屋で行っております。
尾崎さんのお名前は掲載了承済み。もともと昆虫食性進化研究室室長として公表されています。
結論は15度以上
ということで、結論はこうです。
アゲハ蝶が活動できる気温
15度以上
前述の回答にあるとおり、足立区生物園でもJT生命誌研究館でも明確な温度は把握していませんので、これは回答者の主観、専門家の肌感覚に基づく数値です。
それでも、お二人のご意見はほぼ一致しているので、放蝶する時の目安にはなるでしょう。
併せて参考になる点として、蝶の活動には気温だけでなく、日差しの影響も大きいという指摘がありました。
アゲハ蝶が活動できる気温【まとめ】
以上、アゲハ蝶が活動できる気温について書きました。お役に立てば幸いです。
羽化した蝶を放すかどうか迷った時は、こちらの記事も併せてご覧ください。
今回、気軽に問い合わせができる昆虫関連施設は、意外に少ないことがわかりました。
足立区生物園とJT生命誌研究館のご親切な対応に感謝致します。ありがとうございました。
2022/9/29,2024/5/27
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