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【ホシホウジャク】珍しいタイプの蛾 幼虫から育ててみた

ホシホウジャクはホバリングしながら花の蜜を吸うので、ハチドリと間違われます。

珍しいタイプの蛾ですが、北海道から沖縄まで国内全域で見られ、レア度は普通。「かわいい」と言う人もいます。

うちで卵を採取して、幼虫の成長過程を記録しました。ホシホウジャクの基本情報、毒性、寿命、オオスカシバとの違いなどについても触れます。

この記事をご覧になれば、ホシホウジャクの生態と成長過程がわかります。

記事の概要
  • ホシホウジャクの基本情報やレア度
  • ホシホウジャクと似ている生き物
  • ホシホウジャクの成長過程と寿命
  • 動画で見るホシホウジャクの生態

ホシホウジャク 珍しい蛾の生態

まず、ホシホウジャクの基本情報や気になる点について述べます。

ホシホウジャクの基本情報

ホシホウジャク(星蜂雀)の基本情報は以下のとおりです。

学名 Macroglossum pyrrhosticta
分類 鱗翅目>スズメガ科>ホウジャク亜科
分布域 国内全域
活動時期 7~11月
幼虫の食草 アカネ科植物(アカネ,ヘクソカズラ,クチナシなど)

ホシホウジャクは夏から晩秋にかけて現れる昼行性の蛾。

終齢幼虫の大きさは30~40mm程度。

特徴は小さい頭とおしりのピンと立った尾角。ユニークな体形です。

蛹になる時は地表で枯れ葉などを使い、簡素な繭を作ります。

記事の後半で繭を作っている幼虫の動画をご覧になれます。

静止している成虫は地味な、どこにでもいそうな蛾。大きさは前翅長(前翅の付け根から先端までの長さ)20~25mm程度。

花の蜜を吸うため、花が多い場所でよく見かけます。

北海道でも生息 レア度は普通

ホシホウジャクは北海道から沖縄まで、国内全域で生息。珍しい昆虫ではありません。

レア度は普通。花があるところなら、都心部でも見かけます。

北海道にもいるとはいえ、寒さに強いというわけではありません。活動は温暖な時期に限られます。

ハチやハチドリと間違われる

ホシホウジャクはよくハチやハチドリと間違われます。

ハチと間違われるのは花の蜜を吸うから。それと、飛んでいる時に後翅のオレンジ色が目立つから。擬態でしょう。

ハチドリと間違われるのは胴体が太くて、ホバリングしながら花の蜜を吸うから。

日本にハチドリはいないよ。

花の蜜を吸っている時の姿はよく似ていますが、ハチドリはくちばしで吸うのに対し、ホシホウジャクは長い口吻(ストロー状の細い器官)を伸ばして吸います。

ハチと鳥を連想させる日本名の星蜂雀は当を得ていますね。

ホシホウジャクとオオスカシバの違い

ホシホウジャクと生態が似ているオオスカシバという蛾がいます。

どちらもスズメガ科ホウジャク亜科、ホバリングしながら吸蜜。体形も似ていますが、色合いはぜんぜん違います。

このとおり、オオスカシバの胴体はウグイス色に白と赤のライン。翅は透き通っています。

大きさはホシホウジャクよりひと回り大きく、前翅長25~35mm程度。

吸蜜の時、ホシホウジャクは前脚を折りたたみますが、オオスカシバは前脚を花にかけて蜜を吸います。

こちらの動画を観るとよくわかります。

ホシホウジャクはつぼ型の花が好き

ホシホウジャクはどんな花を好むのか。

ホバリングしながら口吻を伸ばして蜜を吸うので、つぼ型の花(ツツジ、フジ、アベリアなど)を好むようです。

近所のアベリアでよく見かけます。

と言っても、ホシホウジャクは特定の植物に依存しているわけではありません。

ホシホウジャクに毒はない

ホシホウジャクは幼虫にも成虫にも毒はありません。

成虫が飛んでいる時はハチのように見えますが、それは擬態。刺すことはありません。

触れてもかぶれたりすることはありませんので、ご安心ください。

以上、ホシホウジャクの生態について述べました。次に、成長過程を見てみましょう。

ホシホウジャク 珍しい蛾の成長過程

ここでは、ホシホウジャクの卵から成虫までの成長過程をご覧になれます。

ホシホウジャク幼虫の飼育録

孵化してから終齢幼虫になるまで

アオスジアゲハの卵を採取した時に、クスノキのすぐ横の草に付いていた卵も取ってきました。

てっきり、それもアオスジアゲハの卵だと思っていたら、

出てきたのはこれ。初めて見るイモムシ。調べてみたら、ホシホウジャクでした。

卵の殻を食べるのはイモ類共通なのか。

おそらくこれは2齢から3齢に変わる時の脱皮。向こうにいるのは遅れて出てきた幼虫。

取ってきた卵は3つ。孵化したのは2つだけでした。

すくすく成長。

食べている葉っぱはヘクソカズラ。漢字で書くと「屁糞葛」。茎や葉を揉むと悪臭がするというのが名前の由来。

それにしても、ひどい名前ですね。(^^;)

繭を作ってから羽化するまで

終齢幼虫になって4日目の朝。

すっかり変色。ビン刺しから降りて、箱の隅でうずくまっていました。

調べてみると、ホシホウジャクは地表で蛹化するとのこと。

プラスチックのケースに土と枯れ葉を入れて、そこに幼虫を置くと、枯れ葉や小石を糸でつないで繭を作り始めました。

5倍速

ケースの壁際でやってくれたのは好都合。一部始終を観察できます。

約8時間後。簡素に見えますが、枯れ葉や小石はしっかりくっついています。

翌日には白くなっていました。ここからが前蛹?

翌日、脱皮して蛹になっていました。

蛹になって13日目。だいぶ色づいてきました。

翌日、羽化。朝起きたら、部屋の壁にとまっていました。蛹化になって14日目。

脱け殻。

ホシホウジャクの寿命

ホシホウジャクの寿命はどれぐらいなのか。

全行程の追跡はできなかったのですが、画像から孵化と羽化の日付はわかります。

1匹目の孵化は9月23日22時30分頃、羽化は10月20日早朝。

2匹目が孵化した日付は不明、羽化したのは10月22日早朝でした。

ということで、今回飼育した1個体の寿命は 28日と成虫の生存日数 となります。

成虫はすぐに放したので、誕生から死亡までの日数はわかりません。

ホシホウジャクはかわいい?

飛んでいるホシホウジャクを見て、「かわいい」と言う人がいるようです。

パッチリした目とずんぐりしたフォルムがいいのか。ハチドリのように忙しく飛び回って蜜を吸うところがいいのか。

イモ好きの人は幼虫を見て、かわいいと思うかもしれません。

脱皮して間もない終齢幼虫。

亀のように引っ込んだ頭部と胸脚。

飛び飛びの小さい腹脚。アゲハいものような包容力はありません。(笑)

どうですか? かわいいですか?

ホシホウジャクは珍しいタイプの蛾【まとめ】

以上、ホシホウジャクの生態や成長過程について書きました。

ポイントは以下のとおりです。

  • ホシホウジャクの分類は鱗翅目>スズメガ科>ホウジャク亜科
  • ホシホウジャクの活動時期は7~11月。幼虫の食草はアカネ科植物
  • 幼虫の特徴は小さい頭とおしりのピンと立った尾角
  • ホシホウジャクは北海道から沖縄まで国内全域で生息。レア度は普通
  • ハチと間違われるのは花の蜜を吸い、後翅のオレンジ色が目立つから
  • ハチドリと間違われるのは胴体が太くて、ホバリングしながら花の蜜を吸うから
  • オオスカシバと生態はよく似ているが、体の色合いはぜんぜん違う
  • ホバリングしながら口吻を伸ばして蜜を吸うので、つぼ型の花を好む
  • ホシホウジャクの幼虫も成虫も毒は持っていない
  • ホシホウジャクとアオスジアゲハの卵はよく似ている
  • 終齢幼虫は脱皮してから3日ほど経つと緑からピンクに変色
  • ホシホウジャクは地表で簡素な繭を作って蛹化する
  • ホシホウジャクが蛹になってから羽化するまでは13日
  • 今回飼育した1個体の寿命は28日と成虫の生存日数
  • ホシホウジャクを「かわいい」と思う人がいる

お役に立てば幸いです。

2024/10/28,11/14

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