アゲハチョウの蛹が変色しましたか? 擬態の変色とは違うような気がしますか?
蛹は生きているのか死んでいるのか、わからない時がありますよね。(乾燥して硬いこげ茶色の蛹とか)。
どこで見分けがつくでしょうか。
この記事をご覧になれば、概ね見当がつくようになります。
どうぞ参考になさってください。
アゲハチョウ蛹の変色
アゲハチョウの蛹の変色を4つに分けて見てみましょう。
正常な変色
まずは、正常な変色。
アゲハチョウの蛹は一部の例外を除き、脱皮直後は鮮やかな緑色ですが、外敵から身を守るため、徐々に色を変えて擬態します。
変色には温度、湿度、光、周囲の色、接触面の感触など、様々な要素が関係するようです。
明るいと緑色、暗いと茶色、接触面がツルツルだと緑色、ザラザラだと茶色になる傾向があるという レポート があります。
と言っても、アゲハチョウの蛹は必ずしも擬態の名人というわけではありません。


このように見事な擬態もありますが、人工的な空間では限界があります。
例えば、こんな状態になります。


ぜんぜん擬態になっていません。
左の2匹はビン刺しから脱走して、左右のスピーカーの上に敷いてある布で蛹化しました。全然違う色になったのは、おそらく周囲の色の影響でしょう。
周囲の色の影響に関しては こちらの記事 にわかりやすい例があります。
右は虫かごのふたで蛹化。虫かごの中で蛹化すると、大抵このような緑色になります。


これはアクリルケースで蛹化したナミアゲハたち。
対面で全く違う色になったり、くっきり2色配合になったり。周囲に置いてある物の影響でしょう。
擬態云々は別として、こういうのはまともな変色。蛹は見るからに健康そうです。
越冬蛹には特有の配色があります。こちらの記事をご覧になってみてください。

寄生による変色
では、このあと、寄生されている蛹はどのように変化するでしょうか。
ほとんどの場合、まだらな茶色になったり、黒い染みが現れたりします。
ヤドリバエ(アゲハの代表的な寄生虫)に寄生されていると、こうなります。


アオスジアゲハの蛹。
まず、左の写真のように、黒い点が現れることがあります。
その後、徐々に右の写真のようにくすんだ黄色に変色し、そのうち蛹は湿っぽくぶよぶよになり、蛹化後5日前後でヤドリバエ(うじ虫)が外に出てきます。
この変化は、緑色の蛹であれば容易に識別できますが、茶色や灰色の蛹ではわかりにくいです。
ただ、寄生されている蛹は生気が感じられず、突っついても動きませんので、何となくわかるでしょう。
ヤドリバエに関しては、こちらの記事をご覧ください。
病死の変色
滅多にないことですが、寄生されているわけではないのに羽化しない、つまり死んでいる蛹がいます。
それはもう病死(薬害を含む)と言うほかありません。
こんな感じになります。

クロアゲハ。乾燥して硬い蛹。
我が家ではいつもこういうこげ茶色になりますが、全部がそうなるのかどうかはわかりません。
羽化直前の変色
最後に、これは一目瞭然ですが、羽化直前の蛹を載せておきます。

ナミアゲハ

アオスジアゲハ
羽化直前の蛹は本体と殻の間に隙間ができ、翅と腹部がくっきり見えてきます。
あとがき
以上、アゲハチョウの蛹の変色について書きました。
生きている蛹と死んでいる蛹の違いは、おわかりいただけたでしょうか。
色だけでわからない場合は、以下の点を観察してみてください。
- 不自然な染みがないか。
- 体液が染み出ていないか。
- ぶよぶよしていないか。
- 軽く突いて反応があるか。
健康な蛹でも、稀に1か月以上羽化しないことがありますので、性急な判断は禁物です。
アゲハが羽化するまでの日数に関しては、こちらの記事をご覧ください。
この記事がお役に立てば幸いです。
2018/8/3,2022/7/8
コメント