羽化すると思っていたアゲハの蛹の下に、白い幼虫がうごめいていましたか?
あるいは、あるはずがない小豆のような蛹が落ちていましたか?
そんなことがあって、ヤドリバエの存在を知ったかもしれません。
この記事で取り上げている寄生虫はヤドリバエだけです。他の寄生虫に関してはこちらの記事をご覧ください。

この記事では次の疑問の答えが得られます。
- ヤドリバエとはどんな虫なのか。
- ヤドリバエの寄生をどのように見分けられるか。
- ヤドリバエは宿主からどんな感じで出てくるのか。
- ヤドリバエ対策としてどんなことができるか。
記事にはタイトルのとおり、ヤドリバエの幼虫(うじ虫)の動画があります。
苦手な人は見ないほうがいいかもしれません。
ヤドリバエとは
ヤドリバエとは、ハエ目ヒツジバエ上科ヤドリバエ科に属する昆虫の総称。
名前のとおり、寄生バエです。
ヤドリバエは30種類以上いて、宿主はいろいろ。すべてがアゲハに寄生するわけではありません。
アゲハに寄生するヤドリバエでよく知られているのは次の2種類。
ブランコヤドリバエ
宿主の表皮に産卵(孵化した幼虫は宿主の表皮を食い破って寄生)します。
マダラヤドリバエ
宿主の周囲の食草に産卵(卵は宿主の体内で孵化)します。

我が家でも毎年たくさん犠牲になっています。
ヤドリバエ寄生の見分け方
ほとんどの場合、ヤドリバエに寄生されたことは、アゲハが蛹にならないとわかりません。
寄生されるとこうなります。


まず、内部に黒い点が現れます。(画像の蛹はアオスジアゲハ)


4日後。表面は全体的に黄色っぽく変色。
中は黒ずんでいて、透明の体液が漏れて固まっています。
ここからヤドリバエの幼虫が出てきました。
ヤドリバエの幼虫と蛹
これです。
気づいた時には、すでに床面を這っていました。

気持ち悪い。
這行が不安定ですね。すぐにひっくり返ります。(赤い点に見えるのはゴミ)。
本来はすぐ土に潜って蛹になるので、こんなに長く移動することは想定外でしょう。気の毒なことをしてしまいました、というか、どっちがしたのか。

放っておいたら、シートの下に潜って蛹になっていました。

はや‼

ヤドリバエが出てきた後の蛹。
我が家のこれまでの記録では、1つの蛹から5匹出てきたことがありました。
追記(2020.9.3):
うちでヤドリバエが羽化しました。こちらの記事をご覧ください。
ヤドリバエが出てくるところ
後日、隔離していたナミアゲハの蛹から、ヤドリバエの幼虫が出てきました。
(すでに1匹出ています)。
放っておいたら、

こうなっていました。
ヤドリバエに寄生されたアゲハに、羽化の見込みは全くないのか。
そんなことはありません。
超レアケースですが、こちらの記事をご覧になってみてください。
ヤドリバエ対策
では、ヤドリバエからアゲハを守るためには、どうしたらいいのか。
幾つか対策があります。
こちらの記事をご覧ください。
あとがき
ヤドリバエに寄生されて死亡。
ひと月ほどかけて育ててきたアゲハが、羽化を目前に控えて死んでしまうのは悲しい結末です。
アゲハを中心に考えればそうですが、これも自然の営み。仕方ありません。
アゲハ愛好家から見ればヤドリバエは悪者ですが、ヤドリバエ愛好家もいるかもしれません。
会ったことはありませんが。
2019/7/26,2022/5/8
コメント