アゲハチョウの自由研究をしていますか? 気づいたことがありますか?
アゲハチョウの幼虫は種類によって外見だけでなく、性格や行動様式も異なります。
観察しているうちに、おもしろい習性があることに気づきました。
アゲハチョウ自由研究
餌の食べ方
餌の食べ方は種類によって異なります。
クロアゲハは几帳面
クロアゲハは柑橘類の葉っぱをこんなふうに食べます。
葉っぱの先端から葉脈に沿って主脈(葉っぱ中央の太い葉脈)の片側を全部食べます。
このあと、残った片側を同じように食べます。
最後に残った主脈はこうします。
結構時間がかかるので、早送りにしました。
なんでここまで苦労して主脈を切り落とすのか。
謎です。
ご存じの方、教えてください。
ナミアゲハは芸術的
ナミアゲハも基本的に同じ食べ方をしますが、主脈は切り落としません。
面倒臭いことはしないたちか。(笑)
山椒の葉っぱはこのように手前から1枚ずつ平らげていきます。
そのため、山椒の枝ぶりが芸術的な形になる時があります。
我が家ではこれを“生け青虫”と呼んでいます。
アオスジアゲハは早食い
アオスジアゲハは几帳面な食べ方はしません。
やみくもに早食いです。
クスノキの葉っぱは柔らかいためか、主脈も一緒に一気食い。
他の幼虫と比べると食べるスピードがやたら速く、早送りの動画を観ているようです。
アオスジアゲハの幼虫は用心深く、すごい勢いで食べていても、触ればもちろん、周りで物音がしただけでも食べるのをやめて、しばらくじっとしています。
いつも葉っぱを完食するわけではありません。
途中で満腹になるのか、食べ残した葉っぱはこうします。
後ずさりする時の腹脚が可愛いですね。
葉っぱの付け根まで戻り、食べ残した葉っぱを切り落とします。
もったいない。
あとで食べればいいのに。ナミアゲハやクロアゲハはそうします。
なんでこうするのか。生存競争のため、という説があります。他の幼虫に残った葉っぱを食べさせないようにする、というわけです。
なるほど。
後述しますが、自分の縄張りに他者が入ってくると追い払うことも然り。アリのような協調性はないようです。
おもしろい習性
アゲハチョウの幼虫にはおもしろい習性がいろいろあります。
餌場とホームは別
基本的に餌場とホーム(摂食時以外の居場所)は別です。
つまり、自分のホームにする葉っぱを決めていて、空腹になるとそこから出掛けていって餌を食べ、食べ終わるとホームに戻ってくるということ。
ホームに戻ってくると、葉っぱ全体を一度巡回します。留守中に異変が起きていないかどうか、確認しているのかもしれません。
それから定位置に落ち着きます。ホームにしている葉っぱの中ならどこでもいいわけではなく、落ち着く定位置まで決めているようです。
ホームで休むアオスジアゲハの終齢幼虫。
大きくなるとホーム独占
体が小さいうちは、
このようにホームを共有していますが、大きくなってくると独占したがります。
ホームに侵入者が入ってくると、こうなります。
すごい剣幕ですね。
でも、こういうこともあります。
仲良く同居? 侵入者を追い出せなかったのか。
でも、これは一時的です。
糞は自分から遠ざける
当然ながら、ホームにしている葉っぱではよく糞をします。
糞が下に落ちればいいのですが、葉っぱに乗ったままだと自分で片付けます。
このとおり。
手際ではなく、”口際”がいいですね。
ホームに限らず、近くに糞があると気持ち悪いのか、くわえて放り投げます。
これは食べている葉っぱに乗っていた糞なので当然ですが、ホームの近くにある糞も気にします。
糞がたくさんたまっていると、このようにわざわざ下まで降りてきて片づけることも。
これはナガサキアゲハの4齢幼虫。うちでは「ヨモギ」と呼んでいました。
かみさんが意地悪をしてピンセットで糞を寄せています。
糞がある程度遠ざかればいいようです。だんだん面倒臭くなってくるのかもしれません。いつもこんな感じで戻っていきます。
あとがき
ちっぽけな虫でも、観察しているといろいろな発見があります。
アゲハチョウの幼虫にこんな習性があるとは知りませんでした。
いろいろな発見があって、興味は尽きないというほどではありませんが、昆虫学者の喜びが少しわかったような気がします。
幼虫の育て方に関しては、こちらの記事をご覧ください。

2018/2/24,2019/8/22
コメント
コメントを書かせていただいている間に羽化してました!
こちらは東海ですが、今は風が強いです。台風でも早くケースから出して放したほうが良いでしょうか?
羽化しても翅が乾くまで、少なくても3時間程度は飛べません。自分から飛ぶまで待ったほうがいいのですが、台風の最中に放すのはかわいそうですよね。私なら台風が通り過ぎてから放します。
いつもありがとうございます。
アゲハの幼虫のためにレモンの葉を採集した時に、葉にくっ付いていた幼虫をそのまま飼育していました。初めは、他のナミアゲハの幼虫と変わりなかったのですが、だんだん身体の表面に光沢が出てきて、模様や形が一匹だけ野生的になってきました。他の五令より大柄ですし。自然の中で孵化した子なので個性的に育ったと思っていましたが、こちらのナガサキアゲハの幼虫の画像を見たらそっくりです。ナミアゲハの幼虫は飼育ケースで孵ったせいか、一度もツノを出したことがありません。その異質な幼虫はすぐに威嚇していましたが、私を覚えてくれたのか葉っぱで触っても怒らなくなりました。
蛹が一つ、頭のほうから黒くなってきました。台風が過ぎたあとに羽化となりそうで、ほっとしてます。