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【アゲハチョウの蛹】基本情報と蛹化期間の3つのポイント

アゲハチョウから蝶になるまでの期間てどれくらい?」「アゲハチョウの蛹は何色?」「蛹になる場所はどこ?」。そんな疑問がありますか?

あるいは「幼虫が蛹になる時にはどんな変化があるんだろう」「飼い主は何をしたらいいんだろう」と思っているところでしょうか。

アゲハチョウの飼育で最も気を遣うのは蛹化の時。飼い主が注意を怠ると、まともに羽化できなくなるかもしれません。

我が家では長年の飼育経験によって、蛹に関する知見が増し、蛹化時のトラブルにも対応できるようになりました。

この記事ではアゲハチョウの蛹に関する基本的な情報に加え、幼虫が蛹になるまでの期間における注意すべきポイント、蛹が落ちた時の対策、蛹が羽化しない理由、蛹の越冬について解説します。

これらの点がわかれば、飼い主が戸惑うことはなくなるでしょう。

記事の概要
  • アゲハチョウの蛹の期間や色
  • アゲハチョウが蛹になる場所
  • アゲハチョウの蛹化における3つのポイント
  • 蛹が落ちた時の対策と羽化しない理由

アゲハチョウの蛹に関する基本情報

まず、アゲハチョウの蛹に関する基本的な情報を書いておきます。

蛹から蝶になるまでの期間

アゲハチョウの蛹の期間は概ね以下のとおりです。

通常サイズ(ナミアゲハ、アオスジアゲハなど): 1週間から10日

大型サイズ(クロアゲハ、ナガサキアゲハなど): 2週間前後

気温が低くなると、それなりに期間は長くなります。越冬蛹は暖かくなるまで数か月、蛹化の時期が早ければ半年以上休眠することもあります。

蛹の全長計測ナガサキアゲハとナミアゲハ
左: ナガサキアゲハ 右: ナミアゲハ

越冬蛹に関しては後述します。

蛹の色は茶色か緑色が多い

蛹の変色には様々な要素が関係しますが、一部の例外の除き、ほとんどの蛹は茶色緑色系統になります。

アゲハチョウ蛹2匹

ナミアゲハ

アオスジアゲハ蛹

アオスジアゲハ

クロアゲハ越冬蛹

クロアゲハ

例外はこれ。

ジャコウアゲハ

黄色。越冬蛹(右)は薄茶色。

蛹の変色に関する詳しい情報はこちらの記事でご覧ください。

蛹になる場所は割り箸とは限らない

幼虫は蛹になる場所を予め決めているわけではありません。ほとんどの場合は食草を離れて蛹化します。

どこに行くかわからないので、家飼いでは虫かごやダンボール箱に閉じ込める人が多いでしょう。割り箸を貼っておいても、そこで蛹になるかどうかわかりません。

蛹化時の移動に関しては後述します。

脱走されると探すのに一苦労です。

天井に張り付いたアオスジアゲハの蛹

天井に張り付いていたアオスジアゲハの蛹。

脱走して蛹化したナミアゲハの蛹

小物入れの中の袋に張り付いていたナミアゲハの蛹。

その点、アオスジアゲハは幾分楽です。

アオスジアゲハ幼虫と蛹が付いているクスノキ

大抵はこのように食草の中で蛹化します。但し、適切な角度の葉っぱが無いと脱走しますので、ご注意ください。

蛹は全く動かないわけではない

蛹も動きます。

と言っても、動くのは好ましいことではありません。特に蛹化後4,5日は体の形成期なので、そーっとしておきましょう

こちらの記事に動く蛹の動画があります。

よく動くのは蛹になりたての頃と、羽化が近づいた頃です。その間はあまり動きません

というわけで、動かないから死んでいるというのは早計です。

アゲハチョウの蛹化におけるポイント

ここではアゲハチョウの蛹化における3つのポイントと不測の事態などについて述べます。

ポイント1: 蛹になる場所への移動

最初のポイントは蛹になる場所への移動。

終齢幼虫は蛹になる時が来ると葉っぱを食べなくなり、おしりを下に向けて、ひたすら糞をします

糞の形状は徐々に変化します。詳しくは こちらの記事 をご覧ください

最後に液状便をすると、幼虫は蛹になる場所を求めてさまよい始めます。そうなったら、放置しておいてはなりません。

どうしたらいいのか。こちらの記事でご覧ください。

ポイント2: 前蛹になる時の糸掛け

2つ目のポイントは前蛹になる時の糸掛けです。

ここではトラブルがない限り、何もする必要はありません

蛹になる場所が決まった幼虫は、しばらくすると頭部の接触面に糸を張り巡らします。その後180度回って下を向き、お尻を固定する所に大量の糸を吐きます。

これはお尻を固定する場所に糸を吐いているところ。

このあと180度回って、元どおり上を向きます。

糸を張り巡らした後の幼虫。

すでにだいぶ縮んでいますが、

このように、さらに体を縮めていきます。

こうなりました。

このあとしばらくすると、幼虫は帯糸(胸部を固定する輪っか)を作り、そこに頭をくぐらせます。

全行程は10分以上かかるので、動画は最後の3分だけにしました。

幼虫は帯糸が風雨にさらされても切れないようにするため、入念に糸を重ねます。

糸掛け完了直後。

がんばった。

ポイント3: 蛹になる時の脱皮

3つ目のポイントは蛹になる時の脱皮です。

ここでもトラブルがない限り、何もする必要はありません

糸掛け翌日7時19分

我が家では可能な場合、前蛹を観察しやすい場所に移します。今回は羽化用に準備したエッグスタンドに移しました。

同日22時48分 1匹目の脱皮

同日23時3分 2匹目の脱皮

蛹化完了。

翌朝。別の1匹と共に、いい具合の枯れた色になっていました。

お疲れさま。

蛹が蝶になるまでの行程はこちらの記事でご覧ください。

蛹が落ちた時の対策

帯糸が切れたり、おしりの固定が外れたりして蛹が落ちる、あるいは宙ぶらりんになることがあります。そのまま放置しておくと、まともに羽化できません。

そういう場合は、蛹を蛹ポケットに入れるか、ティッシュペーパーや布に置くようお勧めします。

やり方はこちらの記事でご覧ください。

蛹が羽化しない理由

蛹が羽化しない理由は4つ考えられます。

  • 時期尚早
  • 越冬する
  • 病気で死んでいる
  • 寄生されている

これらは外見でわかる場合とわからない場合があります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

蛹が越冬する時の処理

アゲハチョウの蛹が越冬するかどうかは、若齢幼虫時の日長(家飼いの場合は照明時間)と蛹の飼育環境(おもに気温)で決まります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

まとめ: アゲハチョウの蛹

以上、アゲハチョウの蛹についていろいろ書きました。

記事のポイントは以下のとおりです。

  • アゲハチョウが蛹から蝶になるまでの期間は1週間から2週間
  • ほとんどの蛹は茶色系か緑色系になる。例外はジャコウアゲハ
  • 蛹になる場所は飼育ケースの中の割り箸とは限らない
  • アオスジアゲハは大抵食草を離れずに蛹化する
  • 蛹は全く動かないわけではない。蛹になりたてと羽化前はよく動く
  • 蛹化後4,5日は体の形成期なので、そーっとしておいたほうがよい
  • 終齢幼虫は蛹になる時が来ると食べなくなり、ひたすら糞をする
  • 終齢幼虫は最後の排泄が済むと、蛹になる場所を求めてさまよい始める
  • 蛹になる場所を決めた幼虫は糸掛けをして前蛹に、脱皮して蛹になる
  • 落ちた蛹は蛹ポケットに入れるか、ティッシュペーパーや布に置く
  • アゲハチョウが羽化しない理由は4つ考えられる
  • 蛹が越冬するかどうかは若齢幼虫時の日長や蛹の飼育環境で決まる

アゲハチョウにとって蛹化は大事な工程。生涯で最も難しく、最も重要な工程と言えるかもしれません。前蛹がしっかり固定されていないと脱皮に失敗したり、まともに羽化できなかったりするかもしれないからです。

実際に我が家では、蛹になる脱皮の最中に帯糸が上にずれてしまったり、おしりの固定が外れてしまったりした個体がいました。いずれも蛹ポケットで無事に羽化しましたが、自然界なら羽化不全になるか、死んでいたでしょう。

自然界でアゲハが羽化する確率は1~2%。いろいろあります。

アゲハチョウの総括的な情報はこちらの記事でご覧ください。

2018/8/31,2024/3/11

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