アゲハチョウの幼虫が蛹になりそうですか? あるいは蛹になりましたか?
アゲハチョウの飼育で最も気を遣うのは蛹化の期間でしょう。
この記事ではその間に起きること、トラブルの解決策、ありがちな疑問について書いています。
どうぞ参考になさってください。
アゲハチョウ蛹化の期間
アゲハチョウ蛹化の期間には、注意すべきポイントが3つあります。
ワンダリング
まず、アゲハチョウの幼虫は蛹化する前、蛹になる場所を求めてさまよい始めます。
この行動をワンダリングと言います。
幼虫はワンダリングが近くなると、葉っぱを食べなくなり、おしりを下に向けて動かなくなります。
その辺の行動に関しては、こちらの記事をご覧ください。
前蛹になる時の糸掛け
2つ目のポイントは前蛹になる時の糸掛けです。
ここではトラブルがない限り、何もする必要はありません。
ワンダリングが終わった、つまり蛹になる場所が決まった幼虫は、しばらくすると頭部の接触面に糸を張り巡らします。
その後180度回って下を向き、お尻を固定する所に大量の糸を吐きます。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、
これはお尻を固定する場所に糸を吐いているところ。
このあと180度回って、元どおり上を向きます。

糸を張り巡らした後の幼虫。
すでにだいぶ縮んでいますが、
このように、さらに体を縮めていきます。

こうなりました。
このあとしばらくすると、幼虫は帯糸(胸部を固定する輪っか)を作り、そこに頭をくぐらせます。
全行程は10分以上かかるので、動画は最後の3分だけにしました。
帯糸は風雨にさらされても切れないように幾重にも糸を束ねるので、釣糸のように頑丈です。

糸掛け完了直後。

がんばった。
蛹になる時の脱皮
3つ目のポイントは蛹になる時の脱皮です。
ここでもラブルがない限り、何もする必要はありません。

糸掛け翌日7時19分
我が家では可能な場合、前蛹を観察しやすい場所に移します。今回は羽化用に準備したエッグスタンドに移しました。
同日22時48分 1匹目の脱皮
同日23時3分 2匹目の脱皮

蛹化完了。

翌朝。別の1匹と共に、いい具合の枯れた色になっていました。

お疲れさま。
滅多にないことですが、前蛹や蛹が帯糸から外れたり、おしりの固定が外れたりして、宙ぶらりんになってしまうことがあります。
その場合の救済策に関しては、蛹が落ちた時の参照記事(後述)をご覧ください。
蛹が落ちてしまったらどうする?
放置しておくと、まともに羽化できないかもしれません。
蛹ポケットに入れるか、柔らかい布に置くといいでしょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
蛹が羽化しないのはなぜ?
蛹が羽化しない理由は4つ考えられます。
蛹化から羽化までは概ね1週間から10日、クロアゲハなど大型種なら10日から2週間程度を要します。
越冬蛹には特有の模様があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
病気で死んでいる、寄生されている蛹に関しては、こちらの記事をご覧ください。
蛹も動く?
動きます。
と言っても、動くのは好ましいことではありません。特に蛹化後4,5日は体の形成期なので、そうっとしておきましょう。
こちらの記事に動く蛹の動画があります。
あとがき
以上、アゲハチョウ蛹化の期間に起きること、トラブルの解決策、ありがちな疑問について書きました。
アゲハチョウにとって蛹化は大事な工程。生涯で最も難しく、最も重要な工程と言えるかもしれません。
前蛹がしっかり固定されていないと脱皮に失敗したり、まともに羽化できなかったりするかもしれないからです。
実際に我が家では、蛹になる脱皮の最中に帯糸が上にずれてしまったり、おしりの固定が外れてしまったりした個体がいました。
いずれも蛹ポケットで無事に羽化しましたが、自然界なら羽化不全になるか、死んでいたでしょう。

自然界でアゲハが羽化する確率は1~2%。いろいろあります。
アゲハチョウ蛹化前後の飼育に関しては、こちらの記事をご覧ください。
2018/8/31,2022/4/28
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