黒い幼虫がいますか? それもアゲハチョウの幼虫かもしれません。アゲハチョウの幼虫や蛹に黒い点や黒ずみが現れましたか? 何でだろうと不安に思われているかもしれません。
この記事ではまず、アゲハチョウの黒い幼虫を挙げます。次に、アゲハチョウの幼虫や蛹に見られる黒い点や黒ずみの原因を挙げます。
原因がわかればすっきりするでしょう。致命的なものとそうでないものがあります。長年の飼育経験でいろいろわかりました。どうぞ参考になさってください。
アゲハチョウの黒い幼虫
アゲハチョウの黒い幼虫と聞いて、真っ先に思いつくのはこれです。
ジャコウアゲハの幼虫。
あとはギフチョウ、ヒメギフチョウ、ホソオチョウの幼虫。画像は 蝶の幼虫図鑑 でご覧ください。
これらの幼虫は、1齢幼虫の時は中間色(茶色やグレー系)ですが、終齢幼虫まで一貫して黒っぽい色です。
それ以外のアゲハチョウは、
若齢幼虫がこのような黒っぽい色で、終齢幼虫は緑色。黒から緑に変化します。
例外はアオスジアゲハの幼虫。
若齢幼虫も緑色です。
幼虫や蛹の黒い点や黒ずみ
アゲハチョウの幼虫や蛹に見られる黒い点や黒ずみは何なのか。気になりますよね。原因は幾つか考えられます。
薬害や病害による黒ずみ
一番ありがちなのは薬害や病害による黒ずみ。
症例は以下のとおり。
アオスジアゲハ4齢幼虫。
体液が漏れて、臭角を出したまま死んでいました。苦しかったのでしょう。
ナミアゲハ5齢幼虫。すでに死んでいます。
1本の腹脚の先端だけが黒く変色。
拡大すると、かさぶたのように見えます。
薬害や病害の場合、このように一部が黒くなることもあれば、全体が黒くなることもあります。
クロアゲハの越冬蛹。
乾燥してスカスカ。黒炭のようになりました。
脱皮阻害剤(農薬)で黒くなることもあります。こちらの記事 をご覧になってみてください。
体液や吐しゃ物が乾いた跡
これは幼虫限定になりますが、表皮に付着した体液や吐しゃ物が乾燥して、黒くなることがあります。
こんな感じです。
アオスジアゲハ5齢幼虫。
顔の周り、特に口の下が黒くなっています。これは傷付いた表皮から漏れた体液か、吐しゃ物が乾いて黒くなった跡です。
拡大してみると、液体が乾いた跡であることがより鮮明にわかります。薬害や病害の時のような黒ずみではありません。
この幼虫は脱皮して奇麗な蛹になり、無事に羽化しました。
孵化した寄生虫の影
蛹にぼんやり現れた黒い点は、孵化した寄生虫(ヤドリバエ)の影でしょう。
こんな感じです。
アオスジアゲハの蛹。
ヤドリバエに寄生されていると、蛹になってから1日か2日後に、このような黒い点が現れる場合があります。(現れない場合もあります)。いかにも、中に異物があるという感じですね。
やがて黒い点は消え、蛹は湿っぽくなり、中からうじ虫が出てきます。
その辺のことに関しては、こちらの記事をご覧ください。
寄生したヤドリバエがたくさんいると、
このように黒い点は消えるどころか、増え広がります。
この蛹にはおそらく3匹以上寄生していたでしょう。
原因不明の黒ずみ
加えて、原因不明の黒ずみも挙げておきます。
はっきりした黒ずみ
まず、はっきりした黒ずみ。
ナミアゲハ5齢幼虫(同じ個体)。
胸部に染みのような黒い部分と、傷のような黒い部分が点在しています。明らかに体液や吐しゃ物が乾いてできた跡でも、寄生虫の影でもありません。
ナミアゲハの前蛹。
頭部と尾脚の一部がくっきり黒くなっています。
ここで挙げた例は薬害や病害なのかもしれませんが、いずれも蛹になると黒い部分は消え、無事に羽化したので「原因不明」としました。
ぼんやりした黒ずみ
次はぼんやりした黒ずみ。
アオスジアゲハ5齢幼虫。
胸部がぼんやりと黒ずんでいます。最初は寄生されているのではないかと思いましたが、違いました。
あとで見てみると、このように黒い部分が動いていました。
黒ずみは滞っている血流のように見えます。蛹になったら消えていました。
アゲハチョウの黒い幼虫【まとめ】
以上、アゲハチョウの黒い幼虫、幼虫や蛹に見られる黒い点や黒ずみについて書きました。
せっかく育ててきた幼虫や蛹が黒くなると心配ですよね。それでも、黒くなった幼虫や蛹がすべて死ぬわけではありません。この記事がお役に立てば幸いです。
アゲハチョウに関する総括的な情報は、こちらの記事でご覧ください。
2020/9/11,2023/3/21
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