アゲハチョウの幼虫や蛹が黒くなりましたか? 何でだろうと不安に思われているかもしれません。
全身が黒くなる場合もあれば、部分的に黒くなる場合もあるでしょう。
それには3つの理由が考えられます。
どうぞ参考になさってください。
アゲハチョウの幼虫や蛹が黒くなる理由
ここで述べることはアゲハチョウ全般に当てはまりますが、ジャコウアゲハの幼虫だけはもともと黒いので、識別が難しいでしょう。
農薬による薬害か病害
一番ありがちな理由は農薬による薬害か病害です。
その場合、こうなります。
アオスジアゲハ4齢幼虫。
体液が漏れて、臭角を出したまま死んでいました。苦しかったのでしょう。
ナミアゲハ5齢幼虫。
1本の腹脚の先端だけが黒く変色。拡大すると、かさぶたのように見えます。
薬害や病害の場合、全体的に黒くなることもあれば、部分的に黒くなることもあります。
あいにく画像がないのですが、蛹の場合は全体が黒炭のように黒くなりました。
薬害と病害の判別は、専門家でないと難しいでしょう。
体液や吐しゃ物の乾燥
これは幼虫限定になりますが、表皮に付着した体液や吐しゃ物が乾燥して、黒くなることがあります。
こんな感じです。
アオスジアゲハ5齢幼虫。
顔の周り、特に口の下(喉?)が黒くなっています。
これは傷付いた表皮から漏れた体液か、あるいは口の下なので、吐しゃ物が乾いて黒くなったのではないかと思います。
拡大してみると、液体が乾いた跡のように見えます。薬害や病害の時のような黒ずみではありません。
この幼虫は脱皮して奇麗な蛹になり、無事に羽化。
春型のような小型の蝶になりました。
寄生虫の黒い点
もうひとつ考えられる理由は寄生虫の黒い点。これは蛹限定になります。
こんな感じです。
アオスジアゲハの蛹。
ヤドリバエに寄生されていると、蛹になって1日か2日後に、このような黒い点が現れる場合があります。(現れない場合もあります)。
いかにも、中に異物があるという感じですね。
やがて黒い点は消え、蛹は湿っぽくなり、全体的に黄色っぽく変色し、中からうじ虫が出てきます。
その辺のことに関しては、こちらの記事でご覧ください。

寄生したヤドリバエがたくさんいると、
このように黒い点は消えるどころか、増え広がります。
この蛹にはおそらく5匹以上は寄生していたでしょう。
原因不明の黒ずみ
以上、アゲハの幼虫や蛹が黒くなる3つの理由を挙げました。
加えて、原因不明の黒ずみも載せておきます。
はっきりした黒ずみ
ナミアゲハ5齢幼虫(同じ個体)。
胸部に染みのような黒い部分と、傷のような黒い部分が点在しています。
明らかに体液や吐しゃ物が乾いてできた跡でも、寄生虫の黒い点でもありません。
ナミアゲハの前蛹。
頭部と尾脚の部分がくっきり黒くなっています。
ここで挙げた例は薬害か病害なのかもしれませんが、いずれも蛹になると黒い部分は消え、無事に羽化しましたので、原因不明としました。
ぼんやりした黒ずみ
アオスジアゲハ5齢幼虫。
胸部がぼんやりと黒ずんでいます。
最初は寄生されていると思いましたが、違いました。
あとで見てみると、このように黒い部分が動いていました。
黒ずみは滞っている血流のように見えます。
蛹になったら消えていました。
あとがき
以上、アゲハの幼虫や蛹が黒くなる理由についてまとめました。
せっかく育ててきた幼虫や蛹が黒くなると、心配ですよね。
それでも、黒くなった幼虫や蛹がすべて死ぬわけではありません。
この記事がお役に立てば幸いです。
2020/9/11,11/13
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