ツマグロヒョウモンを飼育していますか?
我が家で飼育しているうちに、おもしろい特徴がいろいろあることに気づきました。
この記事では成虫の特徴について、当サイトの専門分野であるアゲハチョウと比較して書きます。
ツマグロヒョウモン成虫の特徴
ツマグロヒョウモンもアゲハチョウも鱗翅目ですが、ツマグロヒョウモンはタテハチョウ科、アゲハチョウはアゲハチョウ科です。
アゲハチョウには見られないツマグロヒョウモン、成虫の特徴は以下のとおり。
脚は4本?
ツマグロヒョウモンの脚は何本?
昆虫の脚は6本というのが常識ですが、

一見4本しかないように見えます。
でも、よく見ると、

目のすぐ下に退化した前脚が2本あります。
これはタテハチョウ科全体の特徴のようで、ウィキペディアにこう書いてありました。
成虫の前脚が退化して短くなっている。そのためぱっと見たところでは脚が4本しかないように見えるが、よく見ると頭部と前の脚(中脚)の間に小さく折り畳まれた前脚がある。この前脚は歩行や掴まるためには役立たないが、先端に生えた感覚毛で味を感じることができ、感覚器官としての働きに特化している。食事や産卵の直前には餌や幼虫の食草・食樹の表面に前脚を伸ばし触れる動作をおこなう。ー ウィキペディア タテハチョウ科
ということで、歩行器官としての脚は4本だけ。
それでも、次の特徴を見るとわかりますが、アゲハチョウより健脚です。
窓ガラスを歩ける
脚は4本でも、窓ガラス(擦りガラス)を歩けます。
これはアゲハチョウにはできない芸当。
爪の形状の違いか。脚力が強いのか。

サッシの金属部分も普通に歩いていました。

ぼくも歩ける。
ぶら下がって眠る
窓辺で一日過ごした後。
アゲハチョウはほとんどの場合、レースのカーテンにとまって眠ります。

それに対してツマグロヒョウモンは、

このようにほとんどの場合、サッシの縁にぶら下がって眠ります。
この違いは変態前、つまり蛹の時の名残なのか。


ツマグロヒョウモンの蛹は垂蛹型。
アゲハチョウの蛹は帯蛹型。

これはわかりやすい。
冬期の飼育環境に関しては、こちらの記事をご覧ください。
寝る前の儀式
寝る前はよくこうなります。
ゆっくり翅の開閉を繰り返してから、翅を閉じて就寝。
アゲハチョウにこのような行動は見られません。
おとなしい
アゲハチョウはやたら無闇に羽ばたきます。
食後はいつもこうなるというわけではありませんが、アゲハチョウはよくバタつくので、すぐに鱗粉が取れて、翅がボロボロになってしまいます。

特にナミアゲハとアオスジアゲハ。
それに対して、ツマグロヒョウモンは落ち着いています。
蜜を吸い終わると、のんびり窓辺に歩いていきました。
窓辺にいると、アゲハチョウは気が狂ったように飛び回ることがありますが、ツマグロヒョウモンはそこまで激しく飛び回ることはありません。
吸蜜
人が蜜を吸わせる時。
アゲハチョウは前脚を蜜に触れさせ、口吻を引っぱり出して蜜に触れさせないと吸いません。
ツマグロヒョウモンは前脚を蜜に触れさせれば、勝手に口吻を伸ばして吸い始めるので、餌やりが楽です。
花にとまって蜜を吸う時は、こんな感じで翅を開閉します。
アカタテハやキタテハもこうなので、これはタテハチョウ科特有の動きなのかもしれません。
アゲハチョウは翅を開いたままか、閉じたままです。
蛹便
蛹便。わかりますか?
こういうものです。
さなぎから羽化するときに排出される体液。チョウなどの完全変態をする昆虫の一部にみられる。折りたたまれた羽を展開するとき、翅脈に体液を圧送するが、その余分な体液を便として排出するもの。羽化液。― デジタル大辞泉
アゲハチョウの蛹便排出はこんな感じです。
殻から出る時に排出。
蛹便は脱け殻の中に溜まります。

ツマグロヒョウモンは羽化してから数十分後に排出。
血のような赤い蛹便。

乾いた跡は血痕のようです。

うわっ。
あとがき
以上、アゲハチョウには見られないツマグロヒョウモン、成虫の特徴について書きました。
この記事がお役に立てば幸いです。
ツマグロヒョウモンの細かい点に関しては、こちらの記事(3番目のトピック)をご覧ください。
2021/11/28,12/21
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