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【完全ガイド】アゲハ蝶の幼虫の育て方 わかりやすく解説

アゲハ蝶の幼虫を育てていますか? あるいは、これから育てようと思っていますか?

アゲハ蝶の幼虫の飼育は難しくありませんが、ポイントを押さえておかないと、羽化まで見ることはできません。我が家では毎年育てていて、いろいろ学びました。

この記事では長年の経験に基づき、アゲハ蝶の幼虫の育て方について、細かい点までわかりやすく解説します。関連記事もご覧になれば、初めての人でも簡単に育てることができるでしょう。

記事の概要
  • アゲハ蝶の幼虫の飼育環境設定
  • 幼虫が食べる葉っぱと代用品の準備
  • 幼虫から成虫になるまでの育て方
  • アゲハ蝶の幼虫の成長過程と期間

アゲハ蝶の幼虫の育て方【飼育環境の設定】

まずは、飼育環境を整えましょう。準備するものは以下のとおりです。

  • 容器 … 虫かご、プリンカップなど
  • 餌 … 食草(食べる葉っぱ)
  • 枝や割り箸 … 蛹化時に使用

幼虫の飼育は室内限定

幼虫を庭やベランダなど、屋外で飼育することはお勧めしません。寄生される可能性が高いからです。

自然界でアゲハチョウが羽化する確率は1~2%。アゲハに寄生虫はつきものです。

ということで、アゲハ蝶の幼虫は室内で飼育しましょう。

我が家ではこうしています。

鉢植えとビン刺し。

これのいいところは観察、撮影がしやすいこと。難点は脱走される危険があること。

後述しますが、蛹化が近い幼虫は虫かごなどに閉じ込めます。「イモムシの教科書」 ではこんな方法も紹介していました。

プリンカップ、ビニール袋、ビン刺しによる飼育。

虫かごやダンボール箱でもいいでしょう。

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幼虫を虫かごで飼う場合はこちらの記事も参考になさってください。

切り枝や葉っぱはこまめに換える

どんな環境で育てるとしても、切り枝や葉っぱはこまめに換えてやらなければなりません。幼虫は水気のある新鮮な葉っぱしか食べないからです。

葉っぱに水気がなくなると、幼虫は新鮮な葉っぱを求めてさまよい始めます。そうなる前に換えてあげましょう。

ビン刺しの場合は、ビンの口(枝の周り)にキッチンペーパーなどを詰めておくようお勧めします。幼虫が枝をつたって、水面下に入ってしまうことがあるからです。

我が家ではそうしなかったために、幼虫が溺死したことがありました。

別の利点として、そうしておけば幼虫は水分を補給できます。

喉が渇くと枝から下りてきて、

このように水を吸います。

室内飼育の注意点

室内飼育では以下の点にご注意ください。

蚊取り線香や殺虫剤などの使用は厳禁

吸引した幼虫は悶死します。

密集、高温多湿、不潔な飼育環境は避ける

それは病気の原因になります。エアコンの使用は問題ありません。

ハエトリグモを近づけない

大抵の日本家屋に定住しているハエトリグモは、小さい幼虫を捕食します。

こちらの記事をご覧になってみてください。

3齢幼虫になれば、大きさ的にもう襲われないでしょう。

幼虫が食べる葉っぱ 餌の代用

飼育環境が整ったら、次に幼虫が食べる葉っぱ(食草)の調達方法を考えておかなければなりません。アゲハ蝶の幼虫は食欲旺盛なので、大量の葉っぱが必要になるからです。

季節によっては、餌が不足した時の代用品が必要になるかもしれません。

餌の調達や代用品に関しては、こちらの記事を参考になさってください。

アゲハ蝶の幼虫の育て方【羽化までの世話】

終齢幼虫になるまでの期間

いよいよ幼虫の育て方です。

幼虫は食草に乗せておけば、もりもり食べて脱皮を繰り返し、みるみる成長します。

終齢幼虫になるまでは餌やり以外、特にやることはありません。

幼虫は時々動かなくなります

アゲハ蝶の幼虫が動かない時の対応に関しては、こちらの記事をご覧ください。

終齢幼虫になったら、次のステップは蛹化だよ。

幼虫が蛹になるまでの期間

終齢幼虫になってから、概ね1週間前後で蛹化が始まります。蛹化はアゲハチョウの飼育で最も気を遣うところでしょう。

蛹化の準備に関しては、こちらの記事をご覧ください。

蛹化時の行動が若干異なるアオスジアゲハに関しては、こちらの記事も併せてご覧ください。

蛹になったら、次は羽化。

蛹が成虫になるまでの期間

蛹になったら動き回ることはないので、好きな場所に移すこともできます。但し、動かすのは蛹の中が固まってから、つまり蛹化後4,5日経ってからにしましょう。

我が家ではこのように、いろいろな場所に蛹を置いて楽しんでいます。

置き場所の注意点ですが、羽化した蝶がぶら下がって翅を乾せるようにしておかなければなりません。

3枚目の写真のように、頭上に水平の棒を渡しておけば、蝶はすぐにぶら下がれます。

蛹の糸が切れてしまったり、おしりの固定が外れてしまったりした場合の救済策は、こちらの記事でご覧ください。

無事に羽化したら、成虫は放していただきたいと思います。但し、翅が乾くまで、少なくとも3時間程度は放置し、なるべく自発的に飛ぶまで待ってあげましょう。

もう少し観察したい、あるいは羽化不全で飛べないのであれば、こちらの記事をご覧ください。

アゲハ蝶の育て方成虫編

越冬の準備

概ね9月以降に産まれた幼虫を育てる場合は、越冬の準備もしなければなりません。

その点に関してはこちらの記事をご覧ください。

幼虫の成長過程と期間

アゲハ蝶の幼虫の成長過程、形体ごとの期間は概ねこんな感じになります。

アゲハ蝶の幼虫の成長過程
  • 産卵
    卵 3~5日
  • 孵化
    1齢幼虫 2~4日
  • 脱皮1回目
    2齢幼虫 3~5日

  • 脱皮2回目
    3齢幼虫 3~5日
  • 脱皮3回目
    4齢幼虫 3~5日
  • 脱皮4回目
    5齢幼虫 5~7日
  • 糸掛け
    前蛹 1~2日
  • 脱皮5回目
    蛹 7~10日
  • 羽化
    成虫 2週間以上

孵化から羽化までは約1か月。これはナミアゲハの成長期間。クロアゲハなどの大型種はプラス1週間から10日前後になります。

アゲハ蝶の幼虫成長過程の詳細は、こちらの記事でご覧ください。

まとめ: アゲハ蝶の幼虫の育て方

以上、アゲハ蝶の幼虫の育て方について書きました。

ポイントは以下のとおりです。

  • 屋外は天敵だらけなので、アゲハ蝶の幼虫は室内で育てるほうがよい
  • 鉢植えやビン刺しで育てると観察しやすいが、脱走されるリスクがある
  • 幼虫は新鮮な餌しか食べないので、切り枝や葉っぱはこまめに換える
  • 蚊取り線香や殺虫剤の使用は厳禁。密集、高温多湿、不潔な飼育環境は不可
  • 幼虫は大量の葉っぱを食べるので、餌の調達方法を考えておく
  • 餌が足りなくなった時の代用品は幾つかある
  • 終齢幼虫になるまでは餌やり以外にやることは特にない
  • 蛹化はアゲハチョウの飼育で一番気を遣うところ
  • 蛹になったら動き回ることはないので、好きな場所に移せる
  • 蛹の糸が切れたり、固定が外れたりした場合の救済策はいろいろある
  • 概ね9月以降に産まれた幼虫の飼育では越冬の準備も必要
  • アゲハチョウの孵化から羽化までは約1か月。大型種はもう少し長い

お役に立てば幸いです。

アゲハ蝶の幼虫はかわいらしく、おもしろい習性があり、魅力的です。育ててみればいろいろな発見があり、興味は尽きません。

育てているうちに、小さな虫でも愛おしく感じるようになるでしょう。

私はそうなりました。

2018/5/24,2024/4/3

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豆知識

コメント

  1. ママ より:

    前蛹は頭を下にすることがありますか?いま頭を下にしてお尻が木にくっついている状態で動きません。。何かした方が良いでしょうか。よろしければ教えてください。昨日下痢をして何か分からず洗ってしまいました…大事なものだったのですね。

    • たむら船堀 たむら船堀 より:

      幼虫は上向きか、水平の状態で糸掛けをしますので、前蛹が自ら頭を下にすることはありません。「頭を下にしてお尻が木にくっついている状態」というのは、帯糸が切れてぶら下がっているということでしょうか?であれば、救済が必要です。こちらの記事 を参考になさってください。
      そうではなくて、前蛹になる前の幼虫のことであれば、糸掛けの前段階としてお尻を固定するために下を向いたのでしょう。それは正常な行動です。こちらの記事 をご覧になってみてください。
      下痢便はただの排泄物なので、洗ってしまっても何ら問題ありません。

      • ママ より:

        ありがとうございます。今朝起きると頭が下になった状態でして、数時間経過しても動きません。前蛹の幼虫ですが恐らく数時間も頭を下にすることはないですよね。糸は身体から長いものが一本見えます。とりあえずティッシュの上に乗せました。その際に少し身体がモゴモゴ動きました。初めてでうまくアゲハになるか不安です。

        • たむら船堀 たむら船堀 より:

          長い糸が見えるということは、帯糸が切れたか、固定が外れてしまったんですね。あとは見守るしかありません。無事脱皮することを願います。

  2. まりこ より:

    ブロック幼虫は、どこかへ移動して行きまでしょうか?ブロックの上でさなぎになると熱で死んでしまうのではと気になりました。蛹になっていたら、鉢植えか何かで日よけをしてあげたい気がしますが。。

    • たむら船堀 たむら船堀 より:

      アゲハは陽当たりのことまで考えて、蛹になる場所を決めるほど賢いかどうか。どうなんでしょうね。私は専門家ではありませんので、自然界というか屋外でのことはよくわかりません。